細かいこと抜きで小説が好きな私へ

私の読んだ本について、思ったことや感想を綴る備忘録です。ネタバレは極力避けますが、万が一の時は悪しからずご了承下さいませ。

ドミノ倒し

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 個人的には好きなテーマ、好きな展開でした。

ラストだけは好みではありませんでしたが…

というか物語の収束の仕方ですかね。

 

収束せずに霧散したような感覚。

 

日本のどこかにはこんな話が本当に転がっているのではないかと思っています。

 

 

ドミノ倒し。

 

 

誰かが止めるか、失敗するかでしか、

止まる術を持たない。

微笑む人

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 いわゆる謎解きミステリー、話のつじつまや、

スッキリしたストーリー構成、

そういうものを好む人には、

きっとこの小説は肌に合わないだろう。

 

現実は小説より奇なりと言うが、

それを小説で書くとこうなる。

と、私は思う。

 

人は他人のことを正しく理解できない。

本当の意味では理解できないのである。

 

なぜ?という問い、疑問に対し、

それはこういう理由で、

と明快な答えがあることを求めるのは、

それは人が人として正常であることを求める、

というところから来ているのではないか。

 

もちろん、その正常はアナタの正常であり、

ワタシの正常や、カレ、カノジョの正常は、

似て非なるところにあり、

それがまれに、

似ず非なるところにある。

 

アナタの普通は、

アナタが普通だと思っているだけで、

ワタシやその他の人にとっては、

全く普通ではないのだ。

 

 

普通を普通と思いこむ決め付けの危うさだ

白砂

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 複雑に絡まりあう登場人物の心情、

謎が覆い隠す秘密は、

ただただ哀しい。

 

親子という視点を強調しているわけではない、

それなのに考えざるを得ない、

親子、夫婦という繋がりや、

それを、その絆を確かめたくなる、

根源的な欲求。

 

わたしは帯が煽るように

涙腺崩壊

には至りませんでしたが、

むしろ涙は一滴も出ませんでしたが、

感動、感激する作品というよりは、

哀しさ、切なさに自分の優しい部分をくすぐられるような、人間とはそういうものだと、そう深く哀しまされる作品でした。

 

 

 

人は過ちをおかす。

そして過ちは人を許さない。

許すのは唯一、自分自身である。

連続殺人鬼カエル男

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 どこか惹かれるキャッチーなタイトルと、

帯に騙されたつもりで読みましたが、

なかなかどうして、

良い騙され方をしたようで、

面白い。非常に面白かった。

 

細かいことは抜きにして。

 

ただ、描写は苦手な人がいるだろう。

ミステリー好きな人は、トリックにも

少し違和感(無理感)を感じる可能性がある。

 

しかし細かいことは抜きにしてみるのだ。

 

この真犯人や、そのあと続く仕掛けに、

私は面白さを感じ得ない。

 

 

人の精神性とは、脆く、不可解なものなのだ。

 

あなたが愛した記憶

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 ミステリー、サスペンス。

そう思って読めれば、面白い。

 

面白いよ。

 

描写はキレイで繊細で、

わかりにくくないし、

スピード感が良いのかな。

 

ネタバレに触らないように感想を書くのが、

難しい作品です…。

 

 

 

終わったものが、また始まる恐怖と、喜び。

 

彼女がその名を知らない鳥たち

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 「限りなく不愉快、でもまぎれもない最高傑作」

 

最近は帯が煽りすぎな作品が多いなか、

この言葉は全く違和感がない。

 

構成は似たような作品がないわけではないが、

話の進め方、

一気のどんでん返しではなく、

じわじわ気付かされるというか、

認識を改めさせられるようなつくりに、

少しホッとするような、

これぞ小説の作り込みとでも言うような、

そんな読みごたえのあるものだった。

 

不快な話ではあるが、

作品が不快なわけではないのだ。

 

最近久しぶりに「小説を読んだ。」

そう思った作品だ。

 

人は狂うのではなく、生まれ持った狂気を隠していることがほとんどだ。

しかしながら、狂ってしまうような衝撃があるのは、まぎれもない事実だろう。