世界から猫が消えたなら
別に恋愛の話では無い。
もしもボックス的な話なんだけど、それらを通して、日々の当たり前をちょっと立ち止まって考えてみようかと、そういう話だと解釈している。
繰り返すが、恋愛の話ではない。
しかし、愛の話ではある。
何かを犠牲にして得る幸せの意味とは。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
ありそうでなかった話のシチュエーション。
そしてうすうす謎に気付きながらも、
いざ気付いた時には遅かった感が強く、
なるほどまた最初から読み返して、
その意味に涙する。
シンプルに、良い話だった。
過去を振り返る意味、今を大切にする意味。
少女
無垢な少女二人の、
欲望無き願望を通して、
人の生と死が語られている。
死んでほしい人ほど長生きするとか、
殺しても死ななそうな人ほど先に死ぬとか、
そう言うことを考えながら、
少女の無垢さに畏怖を覚える。
友情と言う切り口を背中に残したまま、
頭と爪先で思い出し、
やはり少女の怖さを感じる作品だ。
純真無垢という凶器。
植物図鑑
わたしはこの作品を見たあと、
ホントに草に…というか葉っぱ系の食べ物に
ハマった。
植物図鑑とはよく言ったもので、
この植物を通した恋愛と言う、
一見すると小学生のような、
ピュアな恋愛なのだけど、
料理、それも卓越した雑草?料理により、
一気にオトナな作品に仕上がっている。
拾ったオトコが美形で料理上手…
どこかで聞いた話のはずなのに、
全く新しい作品として読めた。
捨てるのは優しい偽り、手にしたいのは、愛。
砕け散るところを見せてあげる
物語の構成がとてもうまくできていて、
すっきりと騙されたような感覚。
社会問題も織り込まれていて、
いろいろと重い…心にズシンとくる作品。
ただ、わたしはこう言う作品は嫌いじゃない。
生きる希望や、繋がる想いというのは、
今を生きる人には必要な燃料なのだと、
そう感じるからである。
救うことで繋がる未来、それに救われる。
何者
大学生の就活を中心に、
人の心の闇と光を描写した作品。
と、勝手に思っている。
友情が語られているかと思いきや、
すごく表面的な友情だったりするところは、
まさに大学生らしい、と感じる。
恋愛が語られているかと思いきや、
それも狭く、細く、表面的であり、
それもまたこの年代特有の、
独特な恋愛観だと、私は思っている。
この個性だらけの登場人物の、
誰に共感し、誰に反抗を抱き、
誰に嫌悪するのかは、
人それぞれ違うのではないだろうか。
サスペンスと言うには謎はなく、
恋愛と言うには恋愛描写もなく、
ホラーと言うほど怖さもない。
強いて言うなら、残念さ、虚しさ。
自分がこの本を第三者として読んでいることそのものに、何かもやっとしたものを感じ、私は違う、と言い聞かせる自分がいるかもしれない。
世界を俯瞰して見るあなたの、頭上と足下。