そして誰もいなくなる
どういった趣旨の本かはすぐわかる。
私はアガサクリスティーを知ってはいるが、そして『そして誰もいなくなった』のタイトルも聞いたことはあるが、実際に読んだことはなかった。
推理小説と言えば学生の頃赤川次郎を何冊か読んだ程度で、あとは読んだ小説がたまたま推理小説だった、というものがほとんどである。
この話は、どこか日本ぽくて、どこか日本ぽくない。学芸会や文化祭を思い出し、あぁそうだった、いやこうじゃなかった、などと記憶を辿りながらこの話の世界観を創造していくのはどこか楽しくもあった。
肝心のストーリーだが、期待を裏切らない範囲で、定石を打たれた感じ。ただあまり後味は良くないと感じた。読後時間が経つほど、強くそう思う。恐らく、個人的にであるが、この話はもっともっと哀しい話であって欲しかったのだろう。