爪と目
淡々と、ただ静かに冷静に客観的に、
感情のまるでないような語り口で綴られる、
わたしとあなたの話。
なるほどこれがホラーとは、
読後にはとても納得のいく話だ。
子供は、感情豊かな生き物である。
だから、感情の感じられない子供は、どこか怖い。そのホラー感は、独特なものだ。
幽霊の子供だって、感情豊かな様が多い。
無邪気に人を騙したり、怖がらせたり。
感情の感じられない子供は、そういう怖さとは全く異質だ。
もちろんこの作品はそれだけでなく、
大人の女性の怖さがあらわされている。
そしてこちらも、異質だ。
感情は感じられる。
しかし、
他人への感情が感じられないという感情を、だ。
無関心と、無関係は決定的に異なる。
関心はあれど、それは自分に向けられる関心を求めるのとは全く違うものだと考えさせられる。
しかしやはり際立つのは子供の怖さの方だ。
読後はこちらが勝るのだ。
それがまた怖いのである。