微笑む人
いわゆる謎解きミステリー、話のつじつまや、
スッキリしたストーリー構成、
そういうものを好む人には、
きっとこの小説は肌に合わないだろう。
現実は小説より奇なりと言うが、
それを小説で書くとこうなる。
と、私は思う。
人は他人のことを正しく理解できない。
本当の意味では理解できないのである。
なぜ?という問い、疑問に対し、
それはこういう理由で、
と明快な答えがあることを求めるのは、
それは人が人として正常であることを求める、
というところから来ているのではないか。
もちろん、その正常はアナタの正常であり、
ワタシの正常や、カレ、カノジョの正常は、
似て非なるところにあり、
それがまれに、
似ず非なるところにある。
アナタの普通は、
アナタが普通だと思っているだけで、
ワタシやその他の人にとっては、
全く普通ではないのだ。
普通を普通と思いこむ決め付けの危うさだ。