二重生活
誰かを尾行する
そう聞けば、躊躇いを覚えるのに、
文学的・哲学的尾行
と銘打ち、
その目的のない尾行を見てしまうと、
これはマズイ。
つい、やってみたくなる。
タカリ屋とかユスリ屋にもし自分がなったら、
やってしまうと思う。文学的・哲学的尾行。
そのくらい、人には人に言えない秘密が
たくさんあるものだ。
それがどんなに些細な秘密であろうと、
秘密に変わりはない。
そして、秘密を持っている時点で、
その生活には重なりが存在しているのだろう。
人は他人の秘密を求め、
自らにその秘密を投影して疑心暗鬼する。