去年の冬、君と別れ
冒頭にネタバレを持ってくる類の作品かな?
と思いきや、かなり複雑な構成で、
何度かページを行ったり来たり、
久しぶりに頭を使う作品だった。
一人称の使い方に仕掛けがあり、
気付いた時にはもう遅いと言うわけでもない。
芸術性と狂気がひとつのキーワード、
かと思いきや、
終わってみるとただの復讐劇である。
しかしそこに至る過程で、
様々な狂気と、その中に潜む芸術性に、
触れざるを得ないところが好きだ。
あくまで過程の、結果が導き出されるための
プロセスとしてそれが存在する。
物語の本質、
核となるキーの部分かと思いきや、である。
そこに、そしてこの小説の全体構成こそが、
ひとつの狂気であり、芸術であると思う。
人が真に狂う時、狂人には見えないものだ。